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パリ条約第6条の3 国の紋章等の保護 商標法4条1項1号等

こんにちは

 

今回はパリ条約第6条の3と商標法4条1項の関連する条文を見ていきたいと思います。

まずはパリ条約です。

 

第6条の3 国の紋章等の保護

  • (1) (a) 同盟国は,同盟国の国の紋章,旗章その他の記章,同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし,また,権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する。
    (b) (a)の規定は,1又は2以上の同盟国が加盟している政府間国際機関の紋章,旗章その他の記章,略称及び名称についても,同様に適用する。ただし,既に保護を保障するための現行の国際協定の対象となつている紋章,旗章その他の記章,略称及び名称については,この限りでない。
    (c) いずれの同盟国も,この条約がその同盟国において効力を生ずる前に善意で取得した権利の所有者の利益を害して(b)の規定を適用することを要しない。(a)に規定する使用又は登録が,当該国際機関と当該紋章,旗章,記章,略称若しくは名称との間に関係があると公衆に暗示するようなものでない場合又は当該使用者と当該国際機関との間に関係があると公衆に誤つて信じさせるようなものと認められない場合には,同盟国は,(b)の規定を適用することを要しない。
  • (2) 監督用及び証明用の公の記号及び印章の禁止に関する規定は,当該記号又は印章を含む商標が当該記号又は印章の用いられている商品と同一又は類似の商品について使用されるものである場合に限り,適用する。
  • (3) (a) (1)及び(2)の規定を適用するため,同盟国は,国の記章並びに監督用及び証明用の公の記号及び印章であつて各国が絶対的に又は一定の限度までこの条の規定に基づく保護の下に置くことを現に求めており又は将来求めることがあるものの一覧表並びにこの一覧表に加えられるその後のすべての変更を,国際事務局を通じて,相互に通知することに同意する。各同盟国は,通知された一覧表を適宜公衆の利用に供する。
    もつとも,その通知は,国の旗章に関しては義務的でない。
    (b) (1)(b)の規定は,政府間国際機関が国際事務局を通じて同盟国に通知した当該国際機関の紋章,旗章その他の記章,略称及び名称についてのみ適用する。
  • (4) 同盟国は,異議がある場合には,(3)の通知を受領したときから12箇月の期間内においては,その異議を国際事務局を通じて関係国又は関係政府間国際機関に通報することができる。
  • (5) (1)の規定は,国の旗章に関しては,1925年11月6日の後に登録される商標についてのみ適用する。
  • (6) 前記の諸規定は,同盟国の国の記章(旗章を除く。),公の記号及び印章並びに政府間国際機関の紋章,旗章その他の記章,略称及び名称に関しては,(3)の通知を受領した時から2箇月を経過した後に登録される商標についてのみ適用する。
  • (7) 同盟国は,国の記章,記号又は印章を含む商標で1925年11月6日前に登録されたものについても,その登録出願が悪意でされた場合には,当該登録を無効とすることができる。
  • (8) 各同盟国の国民であつて自国の国の記章,記号又は印章の使用を許可されたものは,当該記章,記号又は印章が他の同盟国の国の記章,記号又は印章と類似するものである場合にも,それらを使用することができる。
  • (9) 同盟国は,他の同盟国の国の紋章については,その使用が商品の原産地の誤認を生じさせるようなものである場合には,許可を受けないで取引においてその紋章を使用することを禁止することを約束する。
  • (10) 前記の諸規定は,各同盟国が,国の紋章,旗章その他の記章,同盟国により採用された公の記号及び印章並びに(1)に規定する政府間国際機関の識別記号を許可を受けないで使用している商標につき,第6条の5B3の規定に基づいてその登録を拒絶し又は無効とすることを妨げない。

--------------- パリ条約 引用ここまで ------------

 

4条1項ですが主に公益的見地から登録が認められないものです。

 

(商標登録を受けることができない商標)
商標法 第四条

次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
一国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標


二パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

三国際連合その他の国際機関(ロにおいて「国際機関」という。)を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標(次に掲げるものを除く。)

  • イ自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するものであつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
  • ロ国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であつて、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用をするもの

四赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(昭和二十二年法律第百五十九号)第一条の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第百五十八条第一項の特殊標章と同一又は類似の商標


五日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの

--------------- 商標法 4条1項 1-5号 引用ここまで ------------

 

1号 国家等の尊厳を保持するという公益保護の観点から、商標全体がこれら国旗等と紛らわしいか否かにより判断するとあります。

2号 経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標とあります。

3号 国際機関ですが、登録が認められるイロの例外があります。

4号 これは国というより赤十字などのケースで別途対応する法律があるものです。

厳密には4号はパリ条約6条の3には明記されていませんが、公益性の観点で保護されています。

5号 監督用又は証明用の印章又は記号というのは、これは国が品質保証などする場合につけるマークのことかと思います。品質保証目的ですので、誤認防止が重要で、一部でも標章が含まれていれば拒絶されるようになっています。

 

商標の登録もできませんが、実は不正競争防止法にもパリ条約第6条の3に該当する条文があります。

第三章 国際約束に基づく禁止行為
(外国の国旗等の商業上の使用禁止)
不正競争防止法 第十六条

何人も、外国の国旗若しくは国の紋章その他の記章であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国国旗等」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国国旗等類似記章」という。)を商標として使用し、又は外国国旗等類似記章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国国旗等の使用の許可(許可に類する行政処分を含む。以下同じ。)を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
2前項に規定するもののほか、何人も、商品の原産地を誤認させるような方法で、同項の経済産業省令で定める外国の国の紋章(以下「外国紋章」という。)を使用し、又は外国紋章を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国紋章を使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国紋章の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。
3何人も、外国の政府若しくは地方公共団体の監督用若しくは証明用の印章若しくは記号であって経済産業省令で定めるもの(以下「外国政府等記号」という。)と同一若しくは類似のもの(以下「外国政府等類似記号」という。)をその外国政府等記号が用いられている商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務の商標として使用し、又は外国政府等類似記号を当該商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは外国政府等類似記号を当該商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、その外国政府等記号の使用の許可を行う権限を有する外国の官庁の許可を受けたときは、この限りでない。

--------------- 不正競争防止法 第十六条 引用ここまで ------------

(国際機関の標章の商業上の使用禁止)
不正競争防止法 第十七条

何人も、その国際機関(政府間の国際機関及びこれに準ずるものとして経済産業省令で定める国際機関をいう。以下この条において同じ。)と関係があると誤認させるような方法で、国際機関を表示する標章であって経済産業省令で定めるものと同一若しくは類似のもの(以下「国際機関類似標章」という。)を商標として使用し、又は国際機関類似標章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは国際機関類似標章を商標として使用して役務を提供してはならない。ただし、この国際機関の許可を受けたときは、この限りでない。

--------------- 不正競争防止法 第十七条 引用ここまで ------------

 

おまけ

さて、イギリスの国旗を模した中国製のマグカップはどうなるのでしょうか。

商標として製品を識別するために使っているわけではないし、原産地を誤認することもないと思うので問題ないでしょうね。

 

意匠の場合は5条1項(公序良俗)に該当する可能性もありますね。

3.1 公の秩序を害するおそれがある意匠
日本若しくは外国の元首の像又は国旗を表した意匠、わが国の皇室の菊花紋章や外国の王室の紋章(類似するものを含む。)等を表した意匠は、国や皇室又は王室に対する尊厳を害するおそれがあることから、審査官は、このような意匠については、意匠法第 5 条第1号が規定する公の秩序を害するおそれがある意匠と判断する。
また、審査官は、出願人と何ら関係のない特定の人物の肖像や個人情報等を表した意匠についても同様に取り扱う。
ただし、審査官は、運動会風景中の万国旗等が表された意匠のように、特定の国や皇室又は王室に対する尊厳を害するおそれがないものである場合には、公の秩序を害するおそれがある意匠と判断しない。 

--------------- 意匠審査基準 引用ここまで ------------