Studying Intellectual Property Law

知的財産法条文教室 みなさまの知財学習のお手伝い

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

意匠補正却下への対応 意匠法17条の2、17条の3

こんにちは 特許にはない意匠の制度として補正却下決定不服審判や補正後の意匠についての新出願があります。 特許の場合は補正が却下された場合は、最初の拒絶理由通知後なら新規事項の追加、シフト補正にならない範囲でさらなる補正をすることがあります。…

意匠の補正と補正却下 意匠法60条の24、意匠法17条の2

こんにちは 意匠でも補正はできるのですが、要旨の変更は認められません。 例えばデザインを変更するのは要旨の変更ですからこれは認められません。実質的には、意匠ではほとんど実体的な補正はできないということになります。意匠は初めから権利範囲をしっ…

意匠の無効理由 意匠法48条

こんにちは 拒絶理由に関連して無効理由と無効審判の条文も見てみましょう。 特許と意匠の違い 意匠の特徴として、意匠には特許のような異議申し立て制度がありません。そこで原則は無効審判が何人でも請求できるようにしてあります。ただし冒認出願は真の権…

意匠の拒絶理由 意匠法17条

こんにちは 日本の意匠には特許庁の審査官による審査があります。国によっては意匠には実体審査がない国もある点にはご留意ください。 拒絶理由の解説 | 経済産業省 特許庁 17条第1項一覧 意匠法 第3条 第1項柱書(工業上利用することができる意匠) 第1…

意匠の出願のフロー

こんにちは 意匠は出願を公開してしまうとすぐまねされてしまう、営業活動がしにくいという点から出願公開がありません。 (さらに秘密意匠という設定登録後も最大3年間秘密にできます。) 設定登録までの段階での特許との違い 意匠には特許と違い出願公開…

秘密意匠と国際意匠出願 意匠法第60条の9

こんにちは 国内の出願では設定登録後に意匠公報が発行されます。 秘密意匠を請求できるタイミングとしては設定登録と同時もしくは1年分の登録料を支払う場合に秘密意匠にする請求ができます。 一方、国際意匠登録出願ではそもそも秘密意匠の請求はできませ…

秘密意匠と関連条文 意匠法14条他

こんにちは 秘密意匠は意匠ならではの仕組みです。 特許では出願公開されるまで1年半の期間があります。一方、意匠では国内の出願なら出願公開の制度はありません。とはいえ、審査も比較的早期に査定が出ますし、設定登録されたらすぐに意匠公報が発行され…

関連意匠と専用実施権の設定の制限 意匠法27条

こんにちは 関連意匠は当然ながら大変類似した意匠です。これは同一の意匠権者のもとでデザインのバリエーションを保護するためのものであり、同一の意匠権者であれば権利範囲が重複することは認めますが、異なる意匠権者が重複した権利を持つことは制度の趣…

関連意匠と出願日、優先日、存続期間 意匠法10条、21条

こんにちは 関連意匠では、期間やその起点がよく問われます。 出願できる期間と存続期間の違い、また設定登録の時点どの話なのかに気を付けてください。 よく登場するタイミング 基礎意匠の出願日(優先日)とそれから10年の時点 関連意匠の出願日(優先日…

関連意匠 意匠法10条と3条、3条の2、9条との関係 

こんにちは 特許では基礎出願をもとに後から国内優先権で関連発明を追加して充実化することができます。意匠でも関連意匠により同様に基礎意匠をもとにバリエーションを追加することが可能です。とはいえ関連意匠には独特の考え方があり、特許の国内優先とは…

部分意匠 意匠法2条1項、先願の意匠と後願の部分意匠 

こんにちは 意匠法の中で部分意匠というのは類似の概念以上にちょっとつかみどころがないかもしれません。条文としては部分意匠のみを独立して扱う条文はありません。 なぜなら意匠の定義(意匠法2条)で定義ですでに物品や建築物または画像の部分を含んで…

意匠の分割と提出書面の省略 意匠法10条の2

こんにちは 組物の意匠が認められない場合に分割して単品で意匠出願ができます。 (意匠登録出願の分割)第十条の二 意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上…

組物の意匠 意匠法8条

こんにちは 興味深い意匠に組物の意匠があります。 セットとなる物品同士で形状、模様、色彩が統一感がある場合です。 さらに観念による統一感という抽象的な組物もあります。 (組物の意匠)第八条 同時に使用される二以上の物品、建築物又は画像であつて経…

意匠の出願と1意匠1出願 意匠法6条、7条

こんにちは 今回は意匠の出願についてです。 条文だけみても具体的にどのようなものを提出するのか分かりにくいかと思いますのでImpitの解説を見ながら条文を見てみるといいでしょう。 意匠登録出願等の手続のガイドライン | 経済産業省 特許庁 意匠登録出願…

意匠の先願 意匠法9条、他人の登録意匠等との関係 意匠法23条

こんにちは 意匠においても先願主義となっています。同日の同一もしくは類似の出願があった場合には意匠出願人の協議となります。 意匠の場合はデザインが完全一致というケースはそもそもあまりなく、類似のケースがとても多いので同一または類似となってい…

意匠法3条の2(先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠の保護除外)

こんにちは 特許法のは拡大先願(特許法29条の2)がありますが、意匠にも類似の条文として意匠法3条の2があります。ただし、拡大先願とは呼びません。 特許法29条の2は出願当初の明細書に記載されている内容なら後で補正が可能と仮定して、それをも…

新規性と意匠の類否の判断

こんにちは 2つの意匠が類似といえるのか。この判断を類否判断といいます。 意匠を考える上で類否判断は重要なトピックです。 具体的な類似の判断は3条1項の条文ではわからないので意匠審査基準を見ていただくことになります。意匠法3条の条文については…

意匠の新規性と創作非容易性(意匠法3条)

こんにちは 意匠法3条は新規性、創作非容易性の条文です。これについては条文だけでなく審査基準も一緒にみると絵で具体例があるので理解が深まります。 実際の意匠法の条文を見ていきましょう。四法対照をお持ちでしたら、特許法の29条と比較していただ…

意匠法の法目的 意匠法1条

こんにちは 最初ですので、1条を読んでおきましょう。ついでに他の法律とに比較します。 (目的)意匠法 第一条 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 --------------- 意匠…

意匠法を始めます。

こんにちは これまで特許法を中心に関連する条約などを見てきましたが、特許法から意匠法に移ります。特許法も総則などいろいろやり残しはあるのですが、特許法については他の法域を一回りした後、総則など4法で共通の事項を復習してみたいと思います。 意…

特許権の延長登録3 延長登録無効審判 特許法125条の2,125条の3

こんにちは 特許権の延長登録ですが、2種類あります。それに合わせて無効審判の条文も2つあります。 特許庁の審査等が時間がかかった場合(期間補償) 67条2項 期間補償の場合の延長登録無効審判 125条の2 医薬品等の安全性審査に時間がかかった場…

特許権の延長登録2 医薬品等の安全性審査の期間の補償 特許法67条第4項等

こんにちは 前回も説明しましたが、特許権の延長登録ですが、2種類あります。 特許庁の審査等が時間がかかった場合(期間補償) 67条2項 医薬品等の安全性審査に時間がかかった場合 67条4項 今回は67条4項を説明します。 前回67条2項分について…

特許権の延長登録1 期間補償 特許法67条第2項等

こんにちは 特許権の延長登録について条文を見ていきたいと思います 特許権の延長登録ですが、2種類あります。 特許庁の審査等が時間がかかった場合(期間補償) 67条2項 医薬品等の安全性審査に時間がかかった場合 67条4項 67条の2には基準日と延…