こんにちは
拒絶理由に関連して無効理由と無効審判の条文も見てみましょう。
特許と意匠の違い
意匠の特徴として、意匠には特許のような異議申し立て制度がありません。そこで原則は無効審判が何人でも請求できるようにしてあります。ただし冒認出願は真の権利者(意匠登録を受ける権利を有する者)に限定しています。
また特許では無効審判の中で訂正の請求というのができましたが、意匠にはこの制度はありません。(そもそも意匠には訂正審判すらない)
意匠での無効理由(意匠法48条)
意匠法48条にあるように限定列挙です。
つまり列挙されているもののいずれかに該当するなら無効審判が請求できます。
意匠登録無効審判の効果(意匠法49条)
意匠登録無効審判の効果としては、請求が認められた場合(つまり無効)はその意匠権は初めからなかったものとされます。後発的無効理由の場合はそれが発生した時点から無効になります。
拒絶理由になるが無効理由にはならないもの
すでに拒絶理由のときに触れていますが復習しましょう。
- 一意匠、一出願に違反
- 動的意匠で複数の図があるが、動的意匠であることの説明がない(一意匠、一出願に違反、ただし動的意匠の要件自体の違反は無効理由になる)
- 組物の意匠が全体としての統一感がない
- 内装の意匠が内装全体としての統一的な美観がない
- 関連意匠が本意匠と類似していない
- ただし関連意匠の登録要件自体をそもそも満たしていないのなら無効になります。
条文を見ていきましょう。
(意匠登録無効審判)
第四十八条
意匠登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。
一その意匠登録が第三条、第三条の二、第五条、第九条第一項若しくは第二項、第十条第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定に違反してされたとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。
二その意匠登録が条約に違反してされたとき。
三その意匠登録がその意匠について意匠登録を受ける権利を有しない者の意匠登録出願に対してされたとき(第二十六条の二第一項の規定による請求に基づき、その意匠登録に係る意匠権の移転の登録があつたときを除く。)。
四意匠登録がされた後において、その意匠権者が第六十八条第三項において準用する特許法第二十五条の規定により意匠権を享有することができない者になつたとき、又はその意匠登録が条約に違反することとなつたとき。
2意匠登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、意匠登録が前項第一号に該当すること(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第三号に該当することを理由とするものは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
3意匠登録無効審判は、意匠権の消滅後においても、請求することができる。
4審判長は、意匠登録無効審判の請求があつたときは、その旨を当該意匠権についての専用実施権者その他その意匠登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
--------------- 意匠法 第四十八条 引用ここまで ------------
第四十九条
意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、意匠登録が前条第一項第四号に該当する場合において、その意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、その意匠登録が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。
--------------- 意匠法 第四十九条 引用ここまで ------------