Studying Intellectual Property Law

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特許の分割と分割時の提出書面の省略 特許法44条

こんにちは

今回は特許の分割の続きです

 

(特許出願の分割)
第四十四条

(1項ー2項は前回を参照ください)

3第一項に規定する新たな特許出願をする場合における第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第四十三条第二項中「最先の日から一年四月以内」とあるのは、「最先の日から一年四月又は新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで」とする。

 

4第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類(第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出された場合には、電磁的方法により提供されたものを含む。)であつて、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

--------------- 特許法44条 引用ここまで ------------

3項のパリ優先権での優先権証明書の提出についてですが、通常は最先の出願から1年4月ですが、分割の場合にはさらに”新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで”と追加されています。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02-12.pdf

 

4項は、すでに原出願で提出している書類については、分割出願では再度出願する必要はないと言っています。青本には以下の説明がありますので引用します。

 第三十条第三項 新規性の喪失の例外のその旨と新規性の喪失の例外の証明書
 第四十一条第四項又は   国内優先権の主張と先の出願の表示
 第四十三条第一項及び第二項  パリ条約による優先権主張と証明書

 

つまり4項では原出願のときにすでに提出している書類は再度の提出は不要ということですが、パリ優先権で優先権証明書を出していなかったときは3項により後から提出可能ということです。

3項にあるようにパリ優先権の優先権証明書は後の出願から出せますが、優先権主張するには優先期間の縛りがありますので、分割の原出願(先の出願)で優先期間内(出願日から1年以内)に事前に優先権主張をしておく必要はあります(特許法43条1項)。分割時に優先権証明書だけを後から出しても認められません。