Studying Intellectual Property Law

みなさまの知財学習のお手伝い

特許法

特許出願の分割の実体的要件

こんにちは 特許の分割で学習しにくいのは実体的要件でしょう。 44条より審査基準を読むのがいいと思います。 審査基準の中で 明細書等 = 明細書、特許請求の範囲又は図面 となっていること(明細書だけでなくクレームがも含んでいること)を押さえたうえ…

特許の分割可能期間の延長、追完 特許法44条

こんにちは 期間の延長があった場合の分割の扱いです。 44条5項、6項は特許料納付期限又は拒絶査定不服審判の請求可能期間が延長された場合に、分割可能期間も同様に延長させるということです。特許法一般での法定期間や指定期間の期間の延長については…

特許の分割と分割時の提出書面の省略 特許法44条

こんにちは 今回は特許の分割の続きです (特許出願の分割)第四十四条 (1項ー2項は前回を参照ください) 3第一項に規定する新たな特許出願をする場合における第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前…

特許の分割の要件と効果 特許法44条

こんにちは 特許の分割は補正と並び、実務でもよく使われる手段かと思います。 分割は単一性違反で拒絶された場合の救済になります。さらに、パリ条約にあるように単一性違反を指摘されなくても、自己の発意でも分割できます。 パリ条約4条(優先権) (1) …

総則 法定期間の延長、指定期日の延長

こんにちは 期間の延長についてみてみましょう 特許法4条では法律で規定されている期間(法定期間)の延長です。もともと法律で期間が決まっているものです。 特許法5条は期日の指定の変更(指定期間の延長)です。特許庁長官、審判長又は審査官が期間を指…

総則 期間の計算 特許法とPCT規則の違い

こんにちは 優先期間に限らず、特許や他の知財法では期間の話がよく出てきます。 基本は民法に従いますが、特許法や条約などでいろいろと細かな点で違うことがあります。 日本の特許法の期間の計算 (期間の計算)第三条この法律又はこの法律に基く命令の規…

相当な注意(due care)と故意ではなかった(unintentional)

こんにちは PCTの優先権の回復で出てきたキーワードを掘り下げてみます。 もともとはPLT条約での言葉です。 特許法条約(PLT)の概要 | 経済産業省 特許庁 締約国は、官庁に対する手続のための期間を出願人等が遵守せず、その直接の結果として出願又は特許に…

パリ条約4条D 優先権主張の申し立てと優先権証明書

こんにちは パリ条約でも優先権主張を伴う出願には、国内優先権同様に2つのステップがあり、 1)後の出願においてまず優先権主張の申し立てをする 2)その次に優先権証明書を提出する という段階があります。 パリ条約4条Dを見てみましょう。 パリ条約4…

パリ条約4条B 優先期間中の第3者の他の出願と優先日前の第3者の権利

こんにちは 優先期間中に先の出願をした後、優先権主張を伴う出願(つまり後の出願)が完了する前に、第3者が同じ出願をした場合はどうなるのでしょうか。 パリ条約の4条Bを見てみましょう。わかりやすくするために意図的に区切りや注を入れています。元の…

パリ条約4条C 最初の出願(優先期間の開始となる出願)

こんにちは 前回、基礎出願の条件として正規の国内出願であること、 最初の出願であることの2つがあるといいましたが、今回は最初の出願であることについてパリ条約の条文を見てみます。 パリ条約4条Cを見ていきましょう。 パリ条約 | 経済産業省 特許庁 …

パリ優先権主張と国内優先権主張の併用

こんにちは 前回のケース3で説明をしていなかった点を取り上げます。 ケース3) 先の出願 日本国および多国を指定国に含む国際出願 → 後の出願 国内出願 このケースで後の出願時に主張する優先権は、パリ優先権の主張も、国内優先権の主張もできます。 (…

PCTに基づく国際出願と優先権 

こんにちは これまでのまとめとして、PCTに基づく国際出願、国内出願と優先権の関係、さらに優先権の主張の取下げできる期間を整理したいと思います。 ケース1)先の出願 国内出願 → 後の出願 日本を指定国に含む国際出願(自己指定) これは後の出願時に主…

PCTの自己指定とみなし取下げ

こんにちは PCTの自己指定の場合ですが、ご存じの方も多いと思いますが日本の基礎出願をベースに後の出願でPCTで日本を指定して出願するときは、パリ優先権ではなく国内優先権での主張の扱いとなります。 つまり、国内優先権としての扱いですから、1年4月…

特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)

こんにちは 優先権の話からちょっとそれてしまいますが、早期審査の話が出たので、海外出願で使える特許審査ハイウェイ(PPH)についても紹介します。 PPHポータル 特許審査ハイウェイ(PPH)について | 経済産業省 特許庁 特許庁HPから引用します。 特許審…

国内優先権のみなし取下げと特許出願の早期審査

こんにちは 早期審査と国内優先権のみなし取下げやみなし公開の関係はどうなるのか、気になったので調べてみました。 まず予備知識として早期審査については以下のリンクに解説があります。 特許出願の早期審査・早期審理について | 経済産業省 特許庁 ここ…

国内優先権と先の出願のみなし公開 

こんにちは 国内優先権と先の出願のみなし公開について考えたいと思います。 今回はみなし取下げではなく、みなし公開の話をしますのでお間違えなく。 また国内優先権の話であり、パリ優先権ではありません。 条文の紹介ですが41条3項を理解用に意図的に…

国内優先権の取下げ

こんにちは 国内優先権の取下げについて考えたいと思います。 そもそも国内優先権主張をして、また取り下げるくらいなら、初めから国内優先権主張をしなければいいというのはごもっともです。しかし、優先権による出願後に状況が変わり当初の状況から気がか…

国内優先権と先の出願のみなし取下げ

こんにちは しばらく国内優先権について考えてみたいと思います。 先の出願のみなし取下げ(取下擬制)は初めてのときはなぜ”みなし”なのか分かりにくいかと思います。 ここでの「みなし取下げ」とは簡単にいうと出願人が自分で取下げの手続きをしなくても(…

国内優先権と分割出願

こんにちは 国内優先権はそれ自体の概念はそれほど難しくはないのですが、いろいろな条件が組み合わさってくると難易度が上がります。例えば分割出願の場合は国内優先権を使えるのでしょうか。 まずは条文を確認してみましょう。特許法41条を一部引用しま…

特許法での無効と取消

こんにちは 民法の話みたいですが、無効と取消はどう違うのでしょうか。 特許法で取消というとまず思いつくのは特許異議の申立てです。無効といえば無効審判ですね。 今回は特許異議と無効審判の比較の話に軸を置くのではなく、取消と無効という言葉がどう使…

特許を受ける権利

こんにちは (これは過去の記事から移転した再掲載です) ”特許を受ける権利”について考えたいと思います。 まず条文ですが特許法33条以下をご覧ください。 (特許を受ける権利)第三十三条 特許を受ける権利は、移転することができる。2特許を受ける権利…

特許無効審判と一事不再理

こんにちは 特許無効審判の確定した審決では一事不再理(いちじふさいり)となります。特許法167条 特許庁のPDFに絵で説明されていましたので、とても分かりやすかったので引用します。 なおスライドにあるように、この件については有識者による見直しが…

専用実施権と独占的通常実施権

こんにちは 専用実施権と独占的通常実施権についてですが、この違いはこのブログで書かなくてもたくさん世の中に違いの説明があるので、今回は条文学習上のポイントに限定します。 専用実施権は特許法での規定があり登録が必要です。 (専用実施権)第七十七…

特許実施権と差止請求

こんにちは 前回は損害賠償でしたので、今回は差止について考えてみます。 差止請求権は特許法の条文があります。特許法100条です。 差止について復習しておきますと、差止はこれから(含む現在)の侵害に対しての予防的措置で、過去の侵害に対してではあ…

特許実施権と損害賠償

こんにちは 特許実施権と損害賠償というお題で考えたいと思います。 ご存じのとおり、実施権には専用実施権と通常実施権があります。さらにいうと通常実施権でも独占的通常実施権という専用実施権に近いものがあります。 おさらいですが、損害賠償の規定自体…

実施可能要件とサポート要件

こんにちは 実施可能要件とサポート要件の違いが分かりにくく、もやもやしている方はいるのではないでしょうか。 私もそうでした。どちらのケースでも明細書の記載が不十分ということですから、結局同じなのでは? この点について考えてみます。 まず、条文…

拒絶査定不服審判での拒絶理由通知

こんにちは 以前に前置審査での拒絶理由通知の話が出ましたので、今回は拒絶査定不服審判での拒絶理由通知について条文159条2項を見てみましょう。 関連する条文として、50条は拒絶理由通知、50条の2は、すでに通知された拒絶理由と同一であること…

前置審査での補正却下

こんにちは 前回の補足説明として前置審査での補正却下についてです。 前置審査では補正が認められない場合でも審査官による補正却下はなく、代わりに特許庁長官へ前置報告されて拒絶査定不服審判に移るのが原則です。 しかし、例外的に前置審査で補正却下さ…

前置審査での拒絶理由通知

こんにちは 今回は、前置審査での拒絶理由通知について考えてみたいと思います。 前置審査をする前提として拒絶査定不服審判と同時に補正をしています。 拒絶査定不服審判と同時の補正であっても、第 17 条の 2 第 3 項から第 6 項まで要件を満たさす必要が…

特許拒絶理由通知 指定期間の延長

こんにちは 特許拒絶理由通知の応答期間(国内60日、在外者3月)は合理的な理由がなくても応答期間内なら2月の延長ができます。 PDFの図でみると分かりやすいですね。 https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/letter/document/kyozetu_entyou_16040…