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特許権の延長登録3 延長登録無効審判 特許法125条の2,125条の3

こんにちは

 

特許権の延長登録ですが、2種類あります。それに合わせて無効審判の条文も2つあります。

  • 特許庁の審査等が時間がかかった場合(期間補償) 67条2項
    • 期間補償の場合の延長登録無効審判 125条の2
  • 医薬品等の安全性審査に時間がかかった場合 67条4項
    • 医薬品等の安全性審査に時間がかかった場合の延長登録無効審判 125条の3

延長登録無効審判も当事者系ですから、利害関係人のみ請求できます。

特徴的なのは、延長登録無効審判では、かならずしも初めからなかったものとされるわけではなく、延長が認められない期間分だけ無効になります。

 

(延長登録無効審判)
第百二十五条の二

第六十七条の三第三項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
一その延長登録が基準日以後にされていない場合の出願に対してされたとき。
二その延長登録により延長された期間がその特許権の存続期間に係る延長可能期間を超えているとき。
三その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
四その延長登録が第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
2前項の延長登録無効審判は、利害関係人に限り請求することができる。
3第百二十三条第三項及び第四項の規定は、第一項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。
4第六十七条の三第三項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。ただし、延長登録が第一項第二号に該当する場合において、その特許権の存続期間に係る延長可能期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。
5前項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第六十七条第四項の延長登録の出願が特許庁に係属しているときは、当該出願は、取り下げられたものとみなす。
6第四項本文の規定により初めからされなかつたものとみなされた延長登録による特許権の存続期間の延長に係る当該延長の期間又は同項ただし書の規定により延長がされなかつたものとみなされた期間内にされた第六十七条第四項の延長登録の出願に係る第六十七条の七第三項の延長登録がされているときは、当該延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。

--------------- 特許法 第百二十五条の二 引用ここまで ------------


第百二十五条の三

第六十七条の七第三項の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。
一その延長登録がその特許発明の実施に第六十七条第四項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。
二その延長登録が、その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは通常実施権を有する者が第六十七条第四項の政令で定める処分を受けていない場合の出願に対してされたとき。
三その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。
四その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。
五その延長登録が第六十七条の五第四項において準用する第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。
2前条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による延長登録無効審判の請求について準用する。
3第六十七条の七第三項の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による特許権の存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。ただし、延長登録が第一項第三号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。

--------------- 特許法 第百二十五条の三 引用ここまで ------------

 

延長登録無効審判は無効審判と適用されている条文はおおよそ同じなのですが、審判官の除斥についても違いがあります。なお対象となるのは特許庁の審査等が時間がかかった場合(期間補償) 67条2項についての話であり、67条4項の場合ではありません。

 

(審判官の除斥)
第百三十九条

審判官は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職務の執行から除斥される。
一審判官又はその配偶者若しくは配偶者であつた者が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人であるとき、又はあつたとき。
二審判官が事件の当事者、参加人若しくは特許異議申立人の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあつたとき。
三審判官が事件の当事者、参加人又は特許異議申立人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。
四審判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。
五審判官が事件について当事者、参加人若しくは特許異議申立人の代理人であるとき、又はあつたとき。
六審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したとき。
審判官が第六十七条第二項の延長登録の出願に係る事件についてその特許権に係る特許出願の審査においてその査定に審査官として関与したとき。
八審判官が事件について直接の利害関係を有するとき。

--------------- 特許法 第百三十九条 引用ここまで ------------

 

特許法については今回でいったん一区切りとしたいと思います。