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知的財産法条文教室 みなさまの知財学習のお手伝い

国際予備審査 PCT条約33条

こんにちは

国際予備審査は出願人が請求すると行われるオプション的な手続きです。

また国際予備審査では34条補正が可能です。

34条補正については次回に考えたいと思います。

PCT33条に国際予備審査はどのようなものか

PCT31条には国際予備審査の請求について規定されています。

 

https://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/docs/webinars/2022/27_6_2022.pdf

特許庁のスライドに流れがありますのでまずご覧ください。

 

国際予備審査の流れ(特許庁スライドより)

 

第三十一条 国際予備審査の請求

(1) 国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。

(2)(a) 出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。(b) 総会は、国際出願をする資格を有する者に対し、その者が非締約国又はこの章の規定に拘束されない締約国の居住者又は国民である場合においても、国際予備審査の請求をすることを認めることを決定することができる。

(3) 国際予備審査の請求は、国際出願とは別個に行う。この請求書には、所定の事項を記載するものとし、この請求書は、所定の言語及び形式で作成する。

(4)(a) 国際予備審査の請求書には、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上の締約国(「選択国」)を表示する。選択国は、後にする選択によつて追加することができる。選択の対象は、第四条の規定によつて既に指定された締約国に限る。
(b) (2)(a)の出願人は、この章の規定に拘束されるいずれの締約国をも選択することができる。(2)(b)の出願人は、この章の規定に拘束される締約国であつて(2)(b)の出願人によつて選択される用意があることを宣言しているもののみを選択することができる
(5) 国際予備審査の請求については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。

(6)(a) 国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。(b) 後にする選択は、国際事務局に届け出る。

(7) 各選択官庁は、自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。

--------------- PCT条約 第三十一条 引用ここまで ------------

 

 

第三十三条 国際予備審査

(1) 国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。

(2) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には、新規性を有するものとする。

(3) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門家にとつて規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとする。

(4) 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、いずれかの産業の分野においてその発明の対象がその発明の性質に応じ技術的な意味において生産し又は使用することができるものである場合には、産業上の利用可能性を有するものとする。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。

(5) (1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。

(6) 国際予備審査に当たつては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができる

--------------- PCT条約 第三十三条 引用ここまで ------------

なお国際予備審査では指定官庁とはいわずに選択官庁と呼ばれます。

これは国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する国という意味であり、将来は指定国になることが期待されている国となります。

 

第三十六条 国際予備審査報告の送付、翻訳及び送達
(1) 国際予備審査報告は、所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付する。
(2)(a) 国際予備審査報告及び附属書類は、所定の言語に翻訳する。
(b) 国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は、出願人が作成する。
(3)(a) 国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達する。
(b) 附属書類の所定の翻訳文は、出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する。
(4) 第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。

--------------- PCT条約 第三十六条 引用ここまで ------------

国際予備審査報告は国際予備審査機関から出願人および国際事務局に遅れれます。

国際予備審査報告を翻訳および指定官庁に送る(正確には送達する)のは、国際事務局です。

これもよく問われる点ですね。

 

 

ちなみに国際予備審査報告の件数が特許庁に統計があります。

2023年でみると国際調査報告がある中で、3%くらいでしょうか。

https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2024/document/index/all.pdf

統計