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PCT規則 指定官庁による優先権の回復 49の3.2

こんにちは

前回、優先権の回復の49の3.1を説明しましたが、今回はPCT規則49の3.2 指定官庁による優先権の回復を扱います。

 

ご参考までにPCT規則の関連する条文番号の構造はこのようになっています。

26の2.3 受理官庁による優先権の回復

第四十九規則の三 受理官庁による優先権の回復の効果、指定官庁による優先権の回復
49の3.1 受理官庁による優先権の回復の効果
49の3.2 指定官庁による優先権の回復 

 

それでは条文を見てみましょう。

49の3.2 指定官庁による優先権の回復


(a) 国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から二箇月の期間内である場合には、指定官庁は、(b)の規定に基づく出願人の請求によつて、当該指定官庁が適用する基準(「回復のための基準」)が満たされていること、すなわち、優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが、次のいずれかの場合によると認めたときには、優先権を回復する。
(ⅰ) 状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず生じた場合
(ⅱ) 故意ではない場合
各指定官庁は、これらの基準のうち少なくとも一つを採用し、また基準の両方を採用することができる。


(b) (a)の規定に基づく請求は、次のとおりとする。
(ⅰ) 第二十二条に規定する期間から一箇月の期間内に又は、出願人が第二十三条(2)の規定に基づき指定官庁に明示の請求を行つた場合には、指定官庁が当該請求を受領した日から一箇月の期間内に、当該指定官庁に提出する。
(ⅱ) 当該優先期間内に国際出願を提出されなかつたことの理由を記載するとともに、(c)の規定に基づき要求される申立てその他の証拠を公表することが望ましい。
(ⅲ) (d)の規定に基づき要求される回復請求のための手数料を添える。


(c) 指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に(b)(ⅱ)に規定する理由の記述を裏付ける申立てその他の証拠を要求することができる。


(d) (a)の規定に基づく請求の提出は、回復請求手数料の指定官庁への支払を条件とすることができる。


(e) 指定官庁は、(a)の規定に基づく請求の全部又は一部に関し、拒否しようとすることについて事情に応じて相当の期間内に意見を述べる機会を出願人に与えることなく、これを拒否しない。指定官庁による拒否しようとする書面は、(c)の規定に基づく申立てその他の証拠を提出する求めとともに出願人に送付できる。


(f) 指定官庁が適用する国内法令が、優先権の回復に関して、出願人の立場からみて、(a)及び(b)の規定に基づく要件よりも有利な要件を規定す規定する場合には、当該指定官庁は、優先権を決定する場合に、当該(a)及び(b)の規定に基づく要件に代わり、国内法令の規定に基づく要件を適用することができる。


(g) 各指定官庁は、当該指定官庁が適用する回復のための基準、要件、該当する場合には(f)の規定に従つて適用される国内法令、及びこれに関する後の変更を国際事務局に通知するものとする。国際事務局は、当該情報を速やかに公報に掲載する。


(h) 二千五年十月五日において(a)から(g)までの規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、当該国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。

--------------- 引用ここまで ------------

これは26の2.3 受理官庁による優先権の回復に似ています。

優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが、次のいずれかの場合によると認めたときには、優先権を回復する。
(ⅰ) 状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず生じた場合
(ⅱ) 故意ではない場合
各指定官庁は、これらの基準のうち少なくとも一つを採用し、また基準の両方を採用することができる。

(受理官庁の基準では回復を認めなかったとしても)49の3.2では指定官庁が採用している基準で優先権の回復を認める手順だからです。