Studying Intellectual Property Law

知的財産法条文教室 みなさまの知財学習のお手伝い

PCT条約

国内手続の繰延べ PCT23条

こんにちは 国内手続での処理を開始する際に、出願人の明示の請求があれば処理を開始します。 PCT条約 第二十三条国内手続の繰延べ(1) 指定官庁は、前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の処理又は審査を行つてはならない。(2) (1)の規定に…

PCT 国際補充調査 PCT規則45の2.1とトップアップ調査PCT規則66.1の3

こんにちは 今回は補充国際調査とトップアップ調査についてです。 補充国際調査とはPCT第四十五規則の二による出願人が国際事務局に追加調査を依頼するものです。特に海外に出願を予定している場合は先に海外特許庁を国際調査機関として国際段階でも調査をし…

指定官庁による検査とみなし国際出願 PCT条約25条 特許法184条の20

こんにちは 国内段階でも指定官庁により検査があります。 これは何かというと、受理官庁が認めない場合に指定官庁が独自に検査をして出願を認めるためのものです。日本でいうみなし国際出願となります。 PCT条約 第二十五条 指定官庁による検査(1)(a) …

受理官庁による出願日の認定、補充の求め PCT条約10条-14条

こんにちは PCTの出願は受理官庁もしくは直接国際事務局に提出することになります。(PCT条約的にいうと、直接国際事務局に提出するときは国際事務局が受理官庁となります。) 受理官庁では出願を点検して問題があれば(出願要件を満たしていないなら)補充…

国内移行手続き PCT22条

こんにちは PCT22条は出願人から各指定官庁への国内移行手続き、具体的には翻訳文の提出や手数料の支払いをするものです。 PCT22条は出願人(AP)が指定官庁に提出するものです。 第二十二条 指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の…

国際公開の効果 PCT条約第29条 特許法184条の10

こんにちは PCTによる国際公開の効果はどのようなものでしょうか。また国内での出願公開とは効果が違うのでしょうか。 PCT29条では、指定国の国内法令、特に翻訳文の提出に依存します。条文を見てみましょう。 第二十九条 国際公開の効果(1) 指定国にお…

国際公開 PCT条約21条

こんにちは 優先日から18か月たつと国際事務局により国際公開が行われます。 WIPO - Search International and National Patent Collections ちなみに、なぜか毎週木曜日に公開です。不思議ですね。 Q&Aにもさすがに、木曜日である理由は書いてありません…

PCT19条補正と34条補正の違い

こんにちは まず補正の提出先ですが、19条補正は国際事務局です。国際調査機関ではありませんのでご注意ください。一方34条補正は国際事務局ではなく、国際予備審査機関へ提出となります。 IB 国際事務局 IPEA 国際予備審査機関 国際調査・国際予備審査 …

国際予備審査 PCT条約33条

こんにちは 国際予備審査は出願人が請求すると行われるオプション的な手続きです。 また国際予備審査では34条補正が可能です。 34条補正については次回に考えたいと思います。 PCT33条に国際予備審査はどのようなものか PCT31条には国際予備審査の請求に…

指定官庁への送達 PCT20条 

こんにちは PCT20条は国際事務局から各指定官庁へ国際出願(含む国際調査報告含む17条(2)b)を送達する仕組みがあります。 17条については以下の記事をご参照ください。 20条は国際事務局(IB)が指定官庁に送達するものです。 第二十条 指定官庁へ…

国際調査結果とPCT19条補正

こんにちは 国際調査報告を受領した後に、国際予備審査を請求することもできますが、それをしない場合でも19条補正ができます。 この場合は補正できるのは、請求の範囲です。また回数は1回限りとなっています。提出先は国際事務局(IB)です。 まずはPCT条…

国際調査報告 PCT条約18条

こんにちは 条約の中でもPCT条約自体は条文をみても具体的なことが書いてなく、詳細についてはPCT規則などが複雑でとても学習しにくい分野です。 今回は国際調査報告18条について扱ってみたいと思います。 実はPCTについては特許庁のHPの説明が一番わかり…

国際調査機関における手続  PCT17条

こんにちは PCT条約はPCT規則についてはあまり触れていなったので少し扱ってみたいとおもいます。 ご存じのようにPCT出願では必ず国際調査が行われます。 国際調査の基本のフロー 受理官庁(RO)から国際調査機関(ISA)に調査用写しが送付されます。 その後…

新規性喪失の例外 PCT国際段階での不利にならない開示又は新規性喪失の例外に関する申立て PCT規則4.17(ⅴ)

こんにちは 新規性喪失の例外の手続きですが、今回はPCTでの国際段階での話です。 PCTで各国に出願する際に、提出書類を各指定官庁毎に用意するのは大変です。 そこで国際段階で一括で提出書類を扱う申し立て方法があります。 これらの書類は本来は指定官庁…

新規性喪失の例外 証明書を提出するタイミング 優先権や分割の場合

こんにちは 新規性喪失の例外を適用する出願は、 公知になってから1年以内に出願し、 その出願と同時に新規性喪失の例外を受ける旨を示し、 さらに証明書は出願から30日以内となります。(30条3項) また証明書についてはその責めに帰することができな…

拡大先願(29条の2)と外国語書面出願、外国語特許出願の国内公表

こんにちは 29条の2の他の出願について外国語のケースを考えてみます。国際特許出願や外国語書面特許の場合に他の出願の基準は外国語の原文に基づくのでしょうか、それとも日本語の翻訳に基づくのでしょうか。 日本に翻訳文が提出されなかった場合は29…

総則 期間の計算 特許法とPCT規則の違い

こんにちは 優先期間に限らず、特許や他の知財法では期間の話がよく出てきます。 基本は民法に従いますが、特許法や条約などでいろいろと細かな点で違うことがあります。 日本の特許法の期間の計算 (期間の計算)第三条この法律又はこの法律に基く命令の規…

相当な注意(due care)と故意ではなかった(unintentional)

こんにちは PCTの優先権の回復で出てきたキーワードを掘り下げてみます。 もともとはPLT条約での言葉です。 特許法条約(PLT)の概要 | 経済産業省 特許庁 締約国は、官庁に対する手続のための期間を出願人等が遵守せず、その直接の結果として出願又は特許に…

PCT規則 指定官庁による優先権の回復 49の3.2

こんにちは 前回、優先権の回復の49の3.1を説明しましたが、今回はPCT規則49の3.2 指定官庁による優先権の回復を扱います。 ご参考までにPCT規則の関連する条文番号の構造はこのようになっています。 26の2.3 受理官庁による優先権の回復 第…

PCT規則 受理官庁による優先権の回復の効果 49の3.1

こんにちは 前回、優先権の回復の説明の途中でしたので続きを説明します。 第四十九規則の三 受理官庁による優先権の回復の効果、指定官庁による優先権の回復49の3.1 受理官庁による優先権の回復の効果49の3.2 指定官庁による優先権の回復 まず初…

PCT規則 受理官庁による優先権の回復 26の2.3

こんにちは 今回は受理官庁による優先権の回復の条文を見てみます。 回復とは期限を過ぎても一定の条件を満たすときには請求を認める制度ですが、条件があります。 特に学習上押さえておくべき点として回復が認められる優先期間の満了からの期間(期限と、押…

PCT規則 優先権の主張の補充又は追加 26の2.1 優先権の主張の補充又は追加

こんにちは 優先権主張に関してPCT規則を見てましょう。 条文集をお持ちの方は第二十六規則の二 優先権の主張の補充又は追加をご覧ください。 (ご参考までに学習には紙の条文集に重要と思われるところをマークしておくといいかと思います。特に条約や規則は…

PCT規則 優先権の主張の欠陥 26規則の2.2

こんにちは PCTでの優先権についての続きです。 これまで説明したとおり、PCT条約には優先権の主張についてあまり具体的な手続きは書かれておらず、PCT規則にゆだねられています。 本題の前に、ややこしいのですが、PCT規則の条文番号の数え方として、「の」…

PCT規則 優先権書類  PCT規則17.1 先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務

こんにちは 今回はPCT規則17 優先権書類を見てみます。 PCTの学習の難しいところは、PCT条約は原則は書いてあるものの具体的な手続きはPCT規則にゆだねられています。PCTは統一した手続が大事な点ですから、条約だけでなくPCT規則を多少は見ないと具体的な…

PCT条約と優先権 PCT条約8条 (PCT自己指定)

こんにちは 今回はPCT条約の8条優先権を見てみます。 PCTは条約以外にも具体的な手続きについては、PCT規則がたくさんあるのですが、まずは8条を見てみましょう。 第八条 優先権の主張 (1) 国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関…

パリ優先権主張と国内優先権主張の併用 

こんにちは 前回のケース3で説明をしていなかった点を取り上げます。 なおこの記事は前回からの続きで以下のリンクとなります。ケース1,ケース2、ケース3についてはリンク先になります。今回の記事は前回のケース3で説明が足りていなかった点の補足説…

PCTに基づく国際出願と優先権 

こんにちは これまでのまとめとして、PCTに基づく国際出願、国内出願と優先権の関係、さらに優先権の主張の取下げできる期間を整理したいと思います。 ケース1)先の出願 国内出願 → 後の出願 日本を指定国に含む国際出願(自己指定) 下の表で上のケースで…

PCTの自己指定とみなし取下げ

こんにちは PCTの自己指定の場合ですが、ご存じの方も多いと思いますが日本の国内出願を基礎出願として後の出願でPCTで日本を指定して出願するとき(いわゆる自己指定)は、パリ優先権ではなく国内優先権での主張の扱いとなります。 つまり、国内優先権とし…

特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)

こんにちは 優先権の話からちょっとそれてしまいますが、早期審査の話が出たので、海外出願で使える特許審査ハイウェイ(PPH)についても紹介します。 PPHポータル 特許審査ハイウェイ(PPH)について | 経済産業省 特許庁 特許庁HPから引用します。 特許審…