Studying Intellectual Property Law

みなさまの知財学習のお手伝い

PCTに基づく国際出願と優先権 

こんにちは

これまでのまとめとして、PCTに基づく国際出願、国内出願と優先権の関係、さらに優先権の主張の取下げできる期間を整理したいと思います。

 

ケース1)先の出願 国内出願 → 後の出願 日本を指定国に含む国際出願(自己指定)

これは後の出願時に主張する優先権は国内優先権となります。

PCTの自己指定とは、以前に説明しましたが、受理官庁が日本で出願してさらに、指定国も日本が含まれているケースです。(前回説明したようにPCTではデフォルトの指定国は全指定ですが、出願時に意図的に日本を指定から除外することもできます。)

国内優先権の取下げは優先日から省令で定める期間、16か月(1年4月)です。

 

 

ケース2)先の出願 日本国および多国を指定国に含む国際出願 → 後の出願 日本を指定国に含む国際出願

これは後の出願時に主張する優先権はパリ優先権となります。海外でPCTで出願して指定国に日本が含まれており、後の出願でも日本を指定した場合は、パリ優先権を主張することになります。

パリ優先権主張の取下げは優先日から30か月(2年6月)です。

 

混乱しやすいケースは以下のケースです。

ケース3) 先の出願 日本国および多国を指定国に含む国際出願 → 後の出願 国内出願

このケースで後の出願時に主張する優先権は、パリ優先権の主張も、国内優先権の主張もできます。

国内優先権を主張する場合は、国内優先権の取下げは省令で定める期間、優先日から16か月(1年4月)です。

パリ優先権を主張する場合は、後の出願は国内出願のみでPCTの日本を指定国に含む出願ではありません。つまりPCT規則の30月の優先権取下げルールの適用ができないのです。先の出願のみなし取下げもないので、そもそも優先権主張を取り下げる必要性もあまりないかもしれませんが。

なお国内と海外で2つの基礎出願があるときは、国内優先権とパリ優先権の両方の優先権主張をもとに後の国内出願も可能です。(特許法43条2項については次回触れたいと思います。)

 

ケース1から3のまとめ

特許審査基準に先の出願(基礎出願)と後の出願(優先権の主張を伴う出願)の種類による優先権の種類と、みなし取下げ、優先権主張の取下げ期間についてわかりやすく表にした解説がありましたので以下に表を引用します。

審査基準内の説明はリンクから参照ください。(表のみ以下に引用しますがぜひ元の審査基準をご一読ください。この表がよく理解できるかと思います。)

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/05_0200bm.pdf

特許協力条約に基づく国際出願と優先権との関係(特許審査基準第V部第2章国内優先権)