Studying Intellectual Property Law

知的財産法条文教室 みなさまの知財学習のお手伝い

特許審査基準

新規性喪失の例外 証明書を提出するタイミング 優先権や分割の場合

こんにちは 新規性喪失の例外を適用する出願は、 公知になってから1年以内に出願し、 その出願と同時に新規性喪失の例外を受ける旨を示し、 さらに証明書は出願から30日以内となります。(30条3項) また証明書についてはその責めに帰することができな…

目的外補正 特許法17条の2第5項 訂正審判で認められる訂正 特許法126条第1項

こんにちは 目的外補正とは最後の拒絶理由通知後に許されない範囲の補正を言います。 以下の理由で補正できる範囲がより限定されます。審査の最終段階まで来ているので今から請求の範囲を広げるようなことでは困るわけです。これまでの審査のやり直しになら…

シフト補正の禁止 特許法17条の2第4項

こんにちは 発明の特別な技術的特徴を変更する補正、いわゆるシフト補正について深堀します。 審査基準にあるように、最初の拒絶理由を受けると、その後はシフト補正は禁止となります。 特許・実用新案審査基準 | 経済産業省 特許庁 第十七条の二 (略) 4…

補正 新規事項の追加 特許法17条の2第3項

こんにちは 拒絶理由ではよく出てくる補正要件を満たさない場合の新規事項の追加やシフト補正の禁止ですが、17条の2は奥が深いです。時期に従って補正内容が段階的に制限されていきます。 今回は1項から3項まで見ていきます。 まず1項は補正できる時期…

拒絶理由 特許法49条 拒絶理由等の特例184条の18

こんにちは 拒絶理由ですが特許法49条に限定列挙されています。 (拒絶の査定)第四十九条 審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。一その特許出願の願書に添付した明細…

請求の範囲、明細書の記載要件と無効理由 特許法36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)

こんにちは 意義申し立て、無効審判のときにでも扱おうと思っていたのですが、せっかくなので復習も兼ねて請求の範囲、明細書の記載要件と無効理由を整理しておきましょう。 拒絶理由にはなるけど無効理由にはならないものがあります。 特許無効審判の条文を…

特許出願 特許請求の範囲の記載 特許法施行規則第二十四条の三 マルチマルチクレーム制限

こんにちは 特許法36条ですが、今回は前回扱わなかった特許法施行規則第二十四条の三について考えてみましょう。 (特許請求の範囲の記載)特許法施行規則 第二十四条の三 特許法第三十六条第六項第四号の経済産業省令で定めるところによる特許請求の範囲…

特許出願 先行技術文献情報開示要件 特許法36条4項2号 特許法48条の7通知

こんにちは 今回は先行技術文献情報開示要件について説明します。 特許法36条4項2号の条文です。 4前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。一 (略) 二その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第…

特許出願 特許請求の範囲の記載 36条6項

こんにちは 特許法36条ですが、今回は特許請求の範囲について考えてみましょう。 5項および6項はクレームをどう書べきかという特許の基本ともいうべき条文です。条文だけではピンとこない箇所ですので審査基準を読みながら条文を確認するといいいでしょ…

特許出願 発明の詳細な説明の記載 特許法36条4項1号

こんにちは 基本ですが明細書の記載要件の特許法36条についておさらいです。 1項から3項は条文の通りなので説明を省略します。 今回は4項1号についての説明とします。 (特許出願)第三十六条特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書…

物の生産方法の発明 生産方法の推定 特許法104条

こんにちは 方法の発明には、普通に方法の発明の場合と物の生産方法の発明があります。 特に物の生産方法の発明はアウトプットが物になるので出来た物の見た目ではどのような方法で作られたか簡単にはわかりません。これでは特許権者では侵害立証が難しいた…

特許の分割の要件と効果 特許法44条

こんにちは 特許の分割は補正と並び、実務でもよく使われる手段かと思います。 分割は単一性違反で拒絶された場合の救済になります。さらに、パリ条約にあるように単一性違反を指摘されなくても、自己の発意でも分割できます。 パリ条約4条(優先権) (1) …

パリ条約4条FとH 部分優先と複合優先

こんにちは 複合優先(複数優先)とは、1つまたは複数の国で出願した基礎出願をもとに、優先権主張して後の出願をするものです。複数の発明を1つにまとめることができますが、発明の単一性は要求されます。 また部分優先とは、優先権主張するに基礎出願が…

パリ条約4条C 最初の出願(優先期間の開始となる出願)

こんにちは 前回、基礎出願の条件として正規の国内出願であること、 最初の出願であることの2つがあるといいましたが、今回は最初の出願であることについてパリ条約の条文を見てみます。 パリ条約4条Cを見ていきましょう。 パリ条約 | 経済産業省 特許庁 …

パリ優先権主張と国内優先権主張の併用 

こんにちは 前回のケース3で説明をしていなかった点を取り上げます。 なおこの記事は前回からの続きで以下のリンクとなります。ケース1,ケース2、ケース3についてはリンク先になります。今回の記事は前回のケース3で説明が足りていなかった点の補足説…

PCTに基づく国際出願と優先権 

こんにちは これまでのまとめとして、PCTに基づく国際出願、国内出願と優先権の関係、さらに優先権の主張の取下げできる期間を整理したいと思います。 ケース1)先の出願 国内出願 → 後の出願 日本を指定国に含む国際出願(自己指定) 下の表で上のケースで…

国内優先権と先の出願のみなし取下げ つづき 経済安全保障推進法

前回の国内優先権と先の出願のみなし取下げで触れなかった話題について扱います。 経済安全保障推進法というのがあります。 正式には「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」というらしいですが。 この法律には第五章 特許…

実施可能要件とサポート要件

こんにちは 実施可能要件とサポート要件の違いが分かりにくく、もやもやしている方はいるのではないでしょうか。 私もそうでした。どちらのケースでも明細書の記載が不十分ということですから、結局同じなのでは? この点について考えてみます。 まず、条文…

前置審査での拒絶理由通知 特許法164条

こんにちは 今回は、前置審査での拒絶理由通知について考えてみたいと思います。 前置審査をする前提として拒絶査定不服審判と同時に補正をしています。 拒絶査定不服審判と同時の補正であっても、第 17 条の 2 第 3 項から第 6 項まで要件を満たさす必要が…

米国出願とパリ優先権

こんにちは 米国特許には日本にはない制度があります。 仮出願(Provisional Application) 仮に出願して出願日の確保 クレームなくてもOK, 論文みたいなものでも受け付けられる。 一部継続出願(continuation-in-part) すでに出願されているものに後から実…

新規性と頒布された刊行物

こんにちは 拒絶理由でおなじみの特許法29条ではありますが、1項の新規性で頒布(はんぷ)された刊行物に記載された発明とあります。 頒布は著作権法では映画に対する頒布権という特別な意味がありますが、とりあえず配布すると解釈しましょう。 条文をみ…